おひとり様の相続の問題点
事例)「おひとり様」の面倒を見ていらっしゃる姪のお2人(BさんとCさん)からのご相談です。
叔母であるAさんは現在82歳で、生涯未婚で子供はいません。
(直系尊属も既に亡くなっております)
叔母から「私の死後はあなた達(Bさん、Cさん)にすべて任せる」とのことですが、
実は叔母の相続人は15人になりそうです。
そのうち連絡が取れるのは一部なので、そのことで悩んでいるBさん、Cさんからのご相談内容と解決策です。
Aさんの相続が発生した場合の相続人
今回の場合、直系尊属(両親、祖父母)や配偶者もいないので「兄弟姉妹が相続人」となります。
また、その兄弟姉妹が亡くなっている場合は「その子である甥や姪が代襲相続人」となります。
そして親族関係図では兄弟姉妹が7名おり、うち4名が死亡でAさんの弟が2名ご存命ということで合計15名の相続人となりました。
その中で連絡が取れるのは1名しかおらず、他の相続人とは音信不通の状態というのです。
【親族関係図】

Aさんの相続が発生した場合の流れ

上記のような順番で手続きとなります。
Aさんが亡くなった場合、収入状況によっては準確定申告や相続税の申告をする必要があります。
兄弟姉妹が相続人の場合は、Aさんの父母の出生から死亡までの戸籍謄本が必要で、それはAさんの父母の死亡と兄弟姉妹の存在の確認のためです。兄弟姉妹が死亡の場合は、代襲相続人であるその子の甥・姪が相続人となりますが、同様にその存在を証明する戸籍謄本が必要です。
つまりAさんの相続が起きた場合は膨大な戸籍謄本の準備が必要になってきます。
「遺産分割協議書」は相続人全員の同意が必要です。
この場合は15名の同意をもらう必要があるため全員の同意までかなり困難な道のりになります。
おひとり様の場合の解決策
82歳のAさんは介護2認定を受け施設で暮らしていますが判断能力はしっかりしているので、その意向に沿って「いつも面倒を見てくれている姪のBさんとCさんに財産を均等に渡したい」とのことで、「公正証書遺言」を作成しました。しかし姪のBさん、Cさんの一番の不安は他の相続人からの「遺留分侵害請求」があったらどうなるのか、とのことでした。
通常の相続人には「遺留分」と言う最低限の遺産取得分が民法で認められています。
遺言により遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害請求権」で侵害された遺留分を取り戻すことができます。
今回は「直系尊属(父母)」「直系卑尊属」の相続人がいない為「遺留分侵害請求権がない」ことを伝えBさん、Cさんも安心しておりました。
つまり、「公正証書遺言」の作成により、Aさんの希望に叶った相続問題の解決が無事にできました。
- 相続参考知識
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- 「直系尊属」・・・直通する系統の親族で自分より前の世代の人
父母や祖父母、養父母などが該当する (叔父や叔母、配偶者の親や祖父母は含まない) - 「直系卑属」・・・直通する系統の親族で自分より後の世代の人
子や孫などが該当し、養子も含まれる
- 「直系尊属」・・・直通する系統の親族で自分より前の世代の人